Sato Tomoko

painting,painting,painting!
山部泰司展 in LADS Gallery
一年ぶりの大阪。目的はLADS Galleyでの「山部泰司 ー溢れる風景画ー」展 (9/3〜9/12)。案内状を頂いたとき「何が溢れるの?」と思ったんですが、見事に溢れていました。風景も色彩も水も空気も、音までも。「してやったり」とにんまりしているのは作者でしょう。


入り口から見える正面には200号の大作。迫力。


左側の壁面。同じく200号。写真では分らないけれども、この空間の中にたつと、うるさいくらいの赤色に目がチカチカしてくる。それが最初の印象。


少しずつ目が慣れて来て、風景を認識し始める。


最後にようやく目に入って来たのがブルーの作品。赤い風景ばかり描く中での制作中に、ふとしたひらめき、手の遊びのように生まれて来た感じ。赤で疲れた目をちょっと癒して、リフレッシュさせてくれる。


「水出る処」というタイトルの作品。200号(194.0×259.0cm)の作品をこの小さな写真で見ること自体不可能だけど。


ディテール。山部さん自身も言ってたけれど、ディテールがいい。どこを切り取っても一つの風景が生まれる。


これも別の作品の部分。踊るような線が、それでもかろうじて風景を見せる。

部分が必ずしも全体を見せる為の一部になっているのではなく、部分がすでに風景として成立していて、全体は全体で風景として成立している、そんな奇妙な関係。ここ数年、数えきれない程描いた風景が、作家の身体にも腕にも染み込んで、こんなディテールを生み出したのかな。


視覚的でもあり体感的な展示。溢れる水の「じゃーじゃー」とか「じょぼじょぼ」という音が聞こえてくる。清らかな水。尽きることないように。ギャラリーの一杯に展示された作品は、一見すると赤の強さに威圧されるけれど、目が慣れて来ると水の流れと木々に取り囲まれる。
無数のタッチがこの動きや流れを生み出している。

ギャラリーでの展示としては、多分こんなにたくさんの作品も、こんなに大きな作品も、必要ないと思う。もっと小さな作品でも、もっと作品数が少なくても、山部さんの作品なら十分にギャラリーの空間を満たすことができる。でもこの溢れる水を生む風景に取り囲まれる感覚は、生まれなかっただろうな、とも思う。

絵画のインスタレーションとはこういうことだと思う。絵画自体がビジョンを持って揺らいだり動いたりする。作品を壁にかけるだけで空間が動きだし、インスタレーションになる。ちゃちな仕掛けも小道具も必要ない。

昨年までの風景画は、どこかに規範とか美しさを求めていた感じがしたけど、今回はそんなものすらなく、ひたすらひたすら。何だか奴隷のように描いているのです。絵画に奉仕しているように。だから圧倒するのかもしれません。


満足げな山部さん。

ちなみにこれまでの山部さんの展覧会に関する過去の記事はこちら→http://blog.tomoko-painting.com/?search=%BB%B3%C9%F4
風景画と一口には言えないこれまでの変遷がちょっとは分かると思います。…にしても、これだけマメに見続けている作家は山部さんだけかも。

次は私の番。制作がんばります!
| 美術・芸術のこと | 23:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
山部泰司展 in 大阪
もう大分前に終わってしまったんですが、先月見に行った山部さんの個展。更新するのがすっかり遅くなりました。


大阪のLADS Galleryで1月26日〜2月5日までの会期でありました。「風景画」展です。


風景画とは何だろう、何を持って「これは風景画だ」と人は言うのでしょう。山部さんの描くのは何と言うか奇妙な「風景画」です。風景を描いているというより、「風景画を描いている」のです。


そうそう、今回は妙に細部が気になる私でした。上の写真の部分。これだけでも独立した作品のよう。大学の美術史の授業で、良い絵はどこをトリミングしても絵になる、という話もありましたねぇ。


こんな横長〜いパノラマのような作品の、


ここがスゴく好き。こういう細部が気になる。


こういうところも好き。とにかく細部が一杯あって、見るところが一杯なんです。


これまた奇妙な絵。違う時代の空と違う時代の木々があるみたい。左の木と右の木も本当は全然違うところにあって、チグハグチグハグしてるんですが、絵の中に治まると「風景画」になってしまう。

描いててヘンテコな気分にならないのでしょうか?


これは0号の小さな作品。ヘンテコってわけではないですが、木の並びにリズムが合って可愛い一枚。

展覧会を見てから早2週間以上たつのですが、思い出すのはディテールなんですよね。次はどうなっていくのでしょうか…。ちなみに以前の展覧会の記事は→
こちら。風景画の変遷が分ります。

この日は山部ご夫妻と夕食までご一緒させていただき、楽しいひと時でした。ごちそうさまでした。毎年のことですが、山部さんの展覧会が終わると、次は自分の番になります。個展まで残り2ヶ月弱。何とかしないと。
| 美術・芸術のこと | 22:20 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
K氏のリビング展を拝見!
pieni deuxで『K氏のリビング展』を見て来ました。pieniさんのギャラリー空間自体がリビングのような居心地の良さで、ついつい長居してしまいました。狭すぎず広すぎず、窓もあって良い雰囲気。展示してみたくなる空間です。


コレクターK氏がこの2年間で集めた作品たちが150点ほど。趣味の良さを感じるチョイスで、見ていて楽しくなる作品ばかり。一つ一つの作品の由来から技法、作者のことまでいろいろお話を伺いました。一つ一つの作品に色んなエピソードがあって、本当に楽しんでコレクションされているんだなあと。


こんな所に私の水彩画。


あ、山部さん発見!

などなど、私も知り合いの作品も多々あったので、楽しんで拝見させてもらいました。こんなにたくさんの作家の作品を一堂に見られる機会もないし、その中でも質のいい小品が集まっていて見応えもありました。

また次回があることでしょう。楽しみです。
| 美術・芸術のこと | 18:27 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
山部 泰司展 in 大阪
先週の土曜日から大阪のLADS Gallery で「山部泰司展」が始まりました。毎度のことながらオープニングにちゃっかりお邪魔しました。


年明けの岐阜での個展以来、今年2度目の個展だそうです。ちょうど今年の締めくくりの季節に良いものを見させてもらいました。


岐阜に展示してた作品も少しありましたが、全体の印象としては岐阜の時よりスゴく深まっているなあって感じがしました。具体的に説明できないんですけど、なんかもう直感です…(笑)




これは横長の作品の部分。このヘンテコさも魅力です。




今、山部さんが取り組んでいることは、写真では伝わらないというか写らないことなので、ここで写真だけ紹介しても仕方ない部分もあるんですが、こういうふうに絵画空間を作ることのできるスゴさをひしひしと感じました。

新しいもの(美意識であったり思考であったり)を提示することは作家の役割の一つであると思います。でもその新しいものを提示することは、時として作品を見る側にも努力を強いる場合があります。「これは何なのか」とか「これは美しいのだろうか」とか、見る側も考えなければいけない。本来の美術鑑賞の楽しみはこういう部分にあるわけですが。

私の場合は、たまたま今私が取り組んでいるテーマが、山部さんの向かっている方向と重なる部分があって、作品を見させてもらって気づくことや感じることが多々あります。でもそうでなかったら、多分理解するのにスゴく時間がかかったかも…。

山部さんとお話してても、頭の回転の速さについて行けないことが多いので、理解した気になってるだけなんですけどね(笑)。でも本当に自分が制作の中でやらなければならないことが一杯見えて来ました。

展覧会は年末28日(火)までです。写真じゃ分らないので、是非足を運んでみてください。
| 美術・芸術のこと | 23:31 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
山部泰司展 in 岐阜

岐阜市にある「なうふ現代ギャラリー」というところで、2月27日から山部泰司さんの展覧会が始まりました。オープニングにアーティストトークもあるというので、27日に岐阜まで行ってきました。

本当に良い展覧会で、考えることも気づくことも一杯あり、美味しいものも一杯食べたのですが、なかなか言葉にするのに手間取ってしまい更新が遅くなりました。

岐阜って一体どこ?などと思っていたけど、倉敷から約3時間(岡山〜名古屋は新幹線)で到着。意外と近くてびっくりです。名古屋駅から岐阜駅が普通電車で20分。ケルンで知り合った岐阜在住の友人と駅で待ち合わせて、いざギャラリーへ。


うっかり見過ごしてしまいそうな小さな看板。でも何かいい感じ。









写真では何にも肝心なものが写らないです。本当に雰囲気だけの参考に見て下さい。

山部さんの作品を見たのは、留学前の奈義町現代美術館での展覧会以来。生意気にも「山部さんに追いつけ、追い越せ」といつも目標にしているのですが、またやられてしまいました。私も次の展覧会に向けて新しいテーマに取り組んでいることもあって、前よりも近づいただろうと思っていたら、またも山部さんは一歩二歩と先を進んでおられました。

今までの作品よりも画面の中に奥行きと空間、そしてそれとは別に「層」があってとてもきれいでした。私がやりたいことやろうとしていることが、方法は違うけれどもそこにあって「くやしいくやしい」とつぶやきながら見ていました。

私は絵を描くということは「考えること」でもあると思っています。描きながら「絵画とは何か」と考える。描いていないときも「絵画とは何か」と考える。それは自分が絵描きだから当然のことでもあるし、それ以前にやっぱり絵画という芸術が大好きだからです。

山部さんの展覧会を見るたびに作品に「新しい思考の跡」があって、とても刺激になります。それを期待するからこそ岐阜まで足を運んだわけなのですが…まだまだ私の絵はオコチャマだなあと思いました。いやいや負けませんとも。頑張ります。

展覧会は3月28日までで、月・火がお休みみたいです。まだ会期があるので、近くの方も遠くの方もぜひぜひどうぞ。

岐阜も良いよ。温泉も。(←山部さんからの案内状に書かれていたメッセージ)。
| 美術・芸術のこと | 23:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
山部泰司展を見ました

県北にある奈義町現代美術館に行きました。目的は「山部泰司展 〜変容する絵画〜」です。今日は初日ということで、アーティストトークもあり、前々から楽しみにしていました。

山部さんは岡山生まれ、京都在住の絵描きさんです。04年に大阪の展覧会で偶然知り合って以来、会うといつも気さくに話をさせていただいています。ニコニコ笑って色んな話をするけれど、絵画のことはいつも真剣。その真剣さに触れると、生意気にも「負けるもんか」と何だかやる気がでるのです。

山部さんの許可をもらって、ちょっと写真を撮りました。
奈義
キャンバス一面に金箔を貼った作品。

奈義
最新作の奈義の風景をイメージした作品。今までとはまた違った作風で、ワクワクしました。とくに右側2枚の緑と赤の作品が私は好きでした。

展覧会のタイトル通り、作品がどんどん変容していくのですが、絵画に対する問いかけをしているようで、同じ絵を描く人間として考えさせられることが一杯あります。

展覧会は8月31日(日)迄です。
ぜひ足を運んでみて下さい。

| 美術・芸術のこと | 22:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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