2009.09.03 Thursday
ダッハウ強制収容所
先日のミュンヘン旅行の目的の一つが、ダッハウ強制収容所。ミュンヘンの中央駅から電車でダッハウまで行き、そこからバスに乗り換えます。中央駅から1時間程で着くので、ベルリンのザクセンハウゼン強制収容所と並んで、アクセスしやすい場所にあります。 逆に言うとマウトハウゼンやノイエンガンメ、テレージジエンシュタットなどは電車やバスの本数が少なかったりするので、ちょっと注意が必要です。 ダッハウの駅前のバス停に行くとこの標識が。間違える方が難しいくらい分かりやすいです。KZはドイツ語で強制収容所の略です。 ツーリストインフォメーション。最近きれいにしたのか、とてもモダンな施設でした。ここでオーディオガイドを借りたり、地図をもらったりします。コインロッカーはなかったのが残念。 収容所の門。ブーヘンヴァルトやザクセンハウゼンの門と同じです。 収容所の中心を通る道。 収容所を記憶するために再現されたバラック。 びっしりとバラック小屋が建っていた当時の様子。 焼却炉。 ガス室の一つ手前の部屋。 ダッハウは絶滅収容所という位置づけではなく、ガス室も設置されたものの稼働したという事実はないそうです。しかし残酷な人体実験や過酷な労働で約7万人が命を落としています。(ちなみにアウシュビッツでの犠牲者数は100〜250万)。 実はこのダッハウ強制収容所はナチスが作った最初の収容所で、その後作られるすべての収容所のモデルになっています。私はすでに8カ所の強制収容所を見学した後だったので、ダッハウの強制収容所にさほど大きな印象は受けませんでした。すでに見た事があるような気分にすらなりました。そういう意味では、収容所の特徴的な要素はすべてここにあると言っても間違いないと思います。 最初の強制収容所ということもあって、足を運んでおきたかった場所。今回の留学で訪れる最後の収容所です。この1年間で9カ所の収容所。9カ所も見たのだから強制収容所について、あるいはナチスのホロコーストについて随分理解したのかと思われるかもしれませんが、逆にいろいろな局面が見えてきて、分からない事だらけになっています。 「よくそんなところへ平気で何度も行けるね」とか「一つ見ただけで十分。苦しくて他の所に行こうと思わない」ともよく言われます。私はそういう部分が鈍感なのかもしれません。でもやっぱり強制収容所の持つ独特の空間、あるいは空気が好きです。とても静かな気持ちになります。 そしてここにあるリアリティーや物質のもつ強さを、しっかりと肌で感じておくことは私にとって重要なことです。時として持ってしまう芸術に対する甘ったるい感情を吹き飛ばすように、ここで感じた事を記憶しておきたいと思います。 慰霊碑の外壁に飾られた疲れたような顔で一休みするキリスト。 |