Sato Tomoko

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核シェルター in Ahrweiler

ケルンからボンを越えてさらに南、電車で約1時間30分程の場所にアールヴァイラーという町があります。赤ワインの産地として有名なぶどう畑に囲まれた小さな町に、冷戦時代に建てられた巨大な核シェルターがあり、08年3月から博物館として公開されています。

Dokumentationsstätte Regierungsbunkerが正式名称。 核シェルターというと大江健三郎の「洪水は我が魂に及び」を思い出します。まだ若かりし頃、かなりこの作品に傾倒したこともあって、核シェルターに奇妙なロマンを抱いて見に行ってきました。


博物館は最寄り駅であるAhrweiler Marktから約1キロ。駅を下りると↑写真のように目の前にぶどう畑が広がっています。シェルターはこのブドウ畑の地中に作られています。


途中の標識。核シェルターの標識の上に、ぶどう畑の標識。


エントランス。ここは水・土・日の週3日だけ開館(11〜3月の冬期は休館)。入場料と写真を撮りたい人は追加料金を支払います。専門のガイドによる説明を受けながら約1時間かけてのグループ見学です。ドイツ語以外にも事前の申し込みをすれば英語・フランス語・スペイン語などが可能。たくさんの人が訪れていて、30人くらいのグループが約15分置きに出発してました。私もドイツ人の中に一人混じって見学。


この核シェルターは地下トンネルのような構造になっています(詳しくはこちらの記事を参照)。ここは実は見学の一番最後に訪れる場所。既に色んな設備を見た後にこの空間の前に立ち、核シェルターへのロマンも吹っ飛び冷や水を浴びせられたような気分でした。直径が約6.7m程の大きさ。


他にも当時のものが展示されています。これは防護服と救護道具。


空気清浄機。実際に有事が起きた時、電力と空気と水が確保できるようになっています。3000人が30日生活できるとか。


今見ると時代遅れな感じがする指令塔。


首相の寝室。と言ってもごく簡素。西ドイツの歴代の首相も訓練に参加したとか。


外部と完全に遮断できるように作られていて、何とも独特の空間です。


私たちのグループのガイドは、36年間技術者としてこのシェルターで務めていたパウルさん。東西ドイツの統一までは職業を聞かれても極秘のため答えられなかったとか。08年に博物館としてオープンした時にガイドとして雇用されたと言ってました。

どんな質問にもすらすら答え、説明に実感がこもっているのか参加者との対話が盛り上がっていました。でも私は単語が全然分からなくてほとんど理解できず…。それでもこの建物の中を見るだけでも、感じることは一杯あります。

3000億円かけて建設し、実地訓練で年に数回使われる以外は設備を維持され続けただけのこの場所は、冷戦を知らない若い世代の人たちが見ればおとぎ話のように思えるかもしれません。でも東西の冷戦の最前線であったドイツはこの巨大な核シェルターを大真面目に必要としていたわけです。

最後に訪れた大きなトンネル(4枚目の写真)の部屋には核保有国が分かる世界地図と、広島の原爆の写真が展示されていました。多分これはセンチメンタルな感じ方なのかもしれませんが、日本が憲法九条を持っていることを本当に誇りに思いました。核シェルターの空間の持つ雰囲気に圧倒される中で、不意に「でも九条がある」と頭の中で声がして気持ちがしゃきっとしました。

フォーゲルザンクも終戦から60年もの間、イギリス軍やベルギー軍に使用され05年に返還され06年に公開されました。普段の生活では感じることはほとんどないけれど、終戦も冷戦もまだまだ過去のことではないと改めて思いました。

※ドイツ語の聞きとりミスによる間違いがあるかもしれませんので、細かい内容は余り信用しないで下さいね(^^;;
| 強制収容所 | 22:26 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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